【マンガ感想】霊道【XOY】
『霊道』
という作品を読みました。
※ネタバレ注意
「XOY」について
「XOY(ジョイ)」と読むらしいです。
今流行りの無料漫画アプリです。
最近、このアプリで漫画ばかり読んでいます。
漫画のあらすじ感想
あらすじ
三人の男と、一人の女が湖のほとりで円座していた。
少し距離をおいて佇む少女は腕を組み、円座してしている彼らへ
順番に怪談を話すよう要求する。そして、少女は言う。
「一番怖かった話をした人を、私が選ぶから…」
感想
まずは、円座している登場人物の怪談をまとめたいと思います。
■(1つ目の話)半地下怪談
あらすじ
語り部:葵人
元ネタ:葵人の姉の学校の先輩が実際に体験した話。
大学を卒業し、上京したばかりの彼女は心許ないお財布事情ながら
住む部屋を探していた。そこで見つけたのが半地下の部屋だった。
半地下であることはともかく、条件は悪くなかった為その部屋を契約したのだが
住み始めてからおかしなことが次々と起こる。そして彼女は確信する。
「ここには、自分以外の誰かがいる…。」
感想
話の中で出てくる女性幽霊の心残りに関しては理解できますが
死因や死後の行動については自己中心極まりないため
主人公の女性及び、いわく付き物件を管理している大家さんに同情を覚えました。
■(2つ目の話)ため池怪談
あらすじ
語り部:善明
元ネタ:ある釣り師がため池で体験した話。
ある釣り師が、妊娠中の嫁に鯉を食べさせるため
初めての夜釣りに行くことを決めた。
行った先は人にあまり知られていない穴場だった為
多少の心細さはあったものの、気にせず夜釣りをしていると
同じく釣り師の男性がやって来た。男性は少し離れた場所で夜釣りを始めたが、
暫くすると血相を変えてこちらへやってきた。
「はぁ…はぁ…どうやらここは釣り場じゃないみたいです」
感想
釣り師が釣り場から逃げる際、置き去りにした荷物がもったいないと思いました。
あと、鯉って美味しいのかな、と思いました。
話の中に出てくる白装束の幽霊が、いかにも「幽霊!」という感じで良いです。
■(3つ目の話)療養病棟
あらすじ
語り部:智(円座しているうち唯一の女性)
元ネタ:有名な心霊掲示板を管理していた人が直接体験した話。
心霊掲示板の管理人は、他の心霊掲示板が大規模になっていくの見て
危機感を覚えていた。そんな折、ある閉鎖された療養病棟で撮られた
心霊写真をネット上で見掛け興味を抱いた管理人は、いいネタになればと思い
その療養病棟へ仲間と向かった。そこで管理人はその療養病棟で写真や動画を
撮影したが、目立った収穫はなかった。幽霊がいるのは確かなのに…。
感想
画面反射といういい感じに怖いオチでした。
幽霊が姿を現さない理由や、管理人に幽霊がついてきた理由など
悲しくも納得のいく理由として伏線回収ができていたのも良かったです。
■(4つ目の話)路地裏の彼女
あらすじ
語り部:賢修
元ネタ:下校中に女子高生が体験した話。
ある女子高生が帰り道、いつものように狭い裏路地を歩いていると
路地の途中にある階段に知らない女性が座っていた。
髪を垂らして腕を組んだまま泣いているそんな女性の横を通り過ぎた。
「何か嫌なことがあってお酒でも飲みすぎたのかな?」
しかし次の日、帰り道の同じ場所で同じ女性が泣いていた。
そしてまた、次の日も…。
感想
女子高生を逆恨みするような話でなくて安心しましたが
話に出てくる幽霊の死因におけるバックグラウンドが気になるところです。
階段に座り込む女性の正体を知ってしまうと悲しくなる話でした。
■(5つ目の話)雨の中の女
あらすじ
語り部:葵人(2周目)
元ネタ:友人の同級生が人生で一番衝撃的だった幽霊の目撃談。
その男子大学生は、大学を2年ほど休学していたため復学した頃には
知っている人もおらず友人も少なくいつも1人だった。
その日も大雨の中、傘を貸してくれる人がおらず雨に降られ風邪をひいてしまう。
体調は悪いがそんな自分を看病してくれる人もいなかったため
雨天は続いていたが、だるい体を引きずり薬局へ行くことにした。
何事も無く薬局で薬をもらった帰り道、自分の横を女性が通り過ぎていった。
感想
雨のせいで風邪をひいたのに、風邪をひいたまま傘も差さずに
雨の中を走り出す男子大学生。今頃元気でやっていることを願います。
近所だったら旦那と一緒に看病くらいしに行くのになぁ。
これも女性幽霊が可哀想な話でした。
■(6つ目の話)登山
あらすじ
語り部:善明(2周目)
元ネタ:毎週末、登山を楽しむ夫婦が体験した話。
岱峰山を登っていた夫婦は、うっかり道に迷ってしまい
日が暮れるまでに山を下りることができなかった。
携帯も繋がらず下山に苦戦していると、女の子が現れ道を案内してくれた。
「あそこで罪深い者がお二人のゆく道を教えてくれます…」
感想
話の最後に出てきた男性の首吊り死体の下に置いてあったリュックサックに
女性と思われる名前が記載されていました。
このリュックサックはひょっとして、先ほど出てきた女の子の…。
女の子がいい子だっただけに、悲しい話でした。
■(7つ目の話)線路
あらすじ
語り部:智(2周目)
元ネタ:ある村で農作業をする夫婦が実際に体験した話。
老婆がいつものように畑で草取りをしていると
いつの間にか畑の近くにしゃがんでいた少女に話しかけられた。
話を聞くと、どうやら体の弱い少女の為に母親が過剰な世話をしていたらしい。
母親の愛情は少女の為になっている筈だと老婆が語りかけると、
少女は悲しそうな顔をして言った。
「もしも私の母に会ったら見なかったふりをしてください!…絶対にですよ」
感想
娘を思う母の行き過ぎた気持ちと、そんな母親を複雑に思う娘。
引き続き、幽霊側の背景が悲しい話でした。
とりあえず、おばあさんを助けたおじいさんにGJを送りたいと思います。
■(9つ目の話)死神になる方法
あらすじ
語り部:朱音(怪談を促した少女)
元ネタ:ただ普通の人生を送りたかったある少女の話。
母親が早くに亡くなり、暴力を振るう父親のもとから逃げたかった少女は
なんのあてもないまま家出をした。友人宅をあたるもことごとく断られ
途方に暮れつつネットカフェで家出について調べていると
家出した人同士で家族になる「家出クラブ」というものにたどり着く。
藁にも縋る思いでそこへ連絡を取ったが、そこは悪魔のアジトだった。
感想
この話が8つ目ではなく9つ目なのは、賢修が2周目の話を
終えていないからでしょうか。
この話でもって、少女が彼らに怪談を語らせた理由や
彼らと少女の関係性など様々なことが一気にわかります。
朱音ちゃんが、この悲しい人生語りを終えるとともに
怪談会と彼らの運命は終幕となるのです。
全体を通しての感想
感想を書いていて気がついたのですが
全ての怪談に共通して「可哀想な女性幽霊」が出てきますね。
大人であれ子供であれ、メインとなる幽霊は皆女性であり悲しい背景がありました。
彼らの語っていた怪談話は、朱音ちゃんが生前彼らに語っていたもの。
つまり、朱音ちゃんが彼らに語っていた怪談に可哀想な女性幽霊の話が多かったのは
朱音ちゃんなりの無意識なSOSだったのか、あるいは自分の可哀想な境遇と重なる
幽霊の出てくる話に共感を覚えたため印象に残っていたのかもしれません。
4人のうち唯一、智だけを朱音ちゃんが見逃したのは
怪談が大好きな智のお陰で今の自分があるから
という皮肉な理由によるものだったのでしょうか。
おわり。