転機は晴れ。

お化けが好きな女の子って、どう思いますか?

物心がついた時から、お化けが大好きでした。

 

 

小学校時代

 

小学生の時は、妖怪だとかあやかしだとか幽霊だとか、

そういったワードに心を惹かれ、学校の七不思議を七つ以上知っているくらいには

図書室の「そっち関連」の書籍を読みつくしました。

 

学校の図書館や、移動図書館や、公立図書館。

勿論、自分でも本屋で立ち読みをしたり購入したり。

 

漫画やアニメも大好きですが、ハマるものはやはり

「そっち関連」を取り扱ったものばかりでした。

 

 

中学校時代

 

中学生の時には、PCをさわる機会が一気に増え

ホラー・オカルトにまつわるワードをよく検索しました。

それらのワードで出てきた画像を見たり、ブラウザゲームをしたり。

 

また、B級ホラーのDVDをTSUTAYAでレンタルし、

鑑賞したりしていました。

 

  

高校時代

 

高校生の時には、夜中に一人で家を抜け出し

ホラー映画の主人公になりきっていました。

 

近所にあった廃墟のような見た目のマンション(失礼)がお気に入りで、

そこでよく夜景をみながら、「何か」が階段の踊り場から姿を現す妄想をしたり、

闇夜を歩く「何か」を探したりしていました。

 

今思うと、JKが夜中に一人で外出だなんて危機感がないにも程があるのですが、

自転車だったのと、一応人の住むマンション内だったのが幸いして

身に危険が及ぶこともなく帰宅できていたのだと思います。

 

 

大学生時代

 

高校卒業を機に上京し、新たな生活にあたふたしつつ

大学生とアルバイトを両立しながら

ホラー・オカルトを題材としたイベントに赴いていました。

 

脱出ゲームだったり、

遊園地のお化け屋敷だったり、

トークショーだったり。

 

東京って素敵な街ですね。

 

 

私は気づいてしまった

 

辛いことや悲しいこともそれなりにあったけれど、

楽しいこともいっぱいありました。

 

ひとりで本を読んだり、ひとりでDVD鑑賞をしたり、

ひとりでゲームをしたり、ひとりで出かけたり・・・。

 

・・・えっ、私ひとりで?

 

楽しさに埋没していて気が付かなかったけれど、

私はずっとひとりだった。

 

家族もいて、友人もいて、彼氏までいたにも関わらず、

趣味を共有できる人が私の周りにはいませんでした。

 

まぁ、当たり前ですよね。

 

ホラーなんて、オカルトなんて、

怖がるものであって楽しむものではないのです。

 

 

人生の「転機」

 

一度ひとりであることを意識してしまうと、

なんだか寂しくなってしまいます。

 

この楽しさを分かち合いたい。

この楽しさを共感してくれる友人が欲しい。

なんなら知人でもいい。

 

そういうわけで友人や彼氏に私の趣味を打ち明けたところ、

 

「怖いか楽しいかはっきりして」

「寿命が縮まる」

「不謹慎」

「絶対に無理」

 

と、でるわでるわ辛辣なコメント。

そもそもホラー・オカルトが好きなことを隠していたわけではないのですが、

私の周りの人々も興味がないから気がつかなかっただけで

関心がないどころか嫌悪の対象だとは思いもしませんでした。

 

繊細な10代の時期に言われていたら、さすがに傷ついていたかもしれません。

 

しかし、世の中にホラー・オカルト作品が溢れているのは

そういったものに需要があるからなのである。

従って、私みたいな人間はどこかに絶対にいる筈なのです。

ましてやここは大都会。

未来の私の友人は、意外と身近にいるかもしれないのです。 

 

そんな気持ちを胸に抱きつつ、いつものネットサーフィンをしていると、

ある文言が目に入りました。

 

「お化け屋敷でアルバイトをしてみませんか?」

 

なるほど・・・その手があったか・・・!

 

とはいえ、私にできるのだろうか・・・。

そもそもお化け屋敷で何をするのだろうか・・・。

 

悩みに悩み抜いた末、申し込むことを決断しました。

申し込んだ後は、期待と不安で興奮してなかなか寝付けませんでした。

この時、雲一つない真っ暗な空に綺麗な月が輝いていたのをよく覚えています。

 

 

働く私

 

その後、なんとかお化け屋敷に採用された私は、

大好きな雰囲気の仕事場で同じような趣味趣向を持った方々と

私が大学を卒業するまで働くことができました。

 

この経験の中で、大きな発見がありました。

 

それは、オカルト・ホラーが好きな人達にも

厳密には様々な方向性での「好き」があるということです。

ホラー・オカルト関連の中でも特に、

怪談が好きだったり、心霊写真が好きだったり、妖怪が好きだったり。

また、「創作したい」「演技やメイクをしたい」「鑑賞したい」など、

楽しみ方においても人それぞれ違うことがわかりました。

 

私の大好きな世界は、私が思っていた以上に広かったのです。

 

それからの私は、お化け屋敷と掛け持ちしていたアルバイト先でも

興味がないだけで大きな世界が広がっているのだろうと考えるようになりました。

 

 

現在、一般企業に就職している平凡な私は

毎朝玄関の扉を開ける度に天気を確認します。

 

天気は晴れだったり雨だったり、色々な表情を見せますが、

あの時訪れた「転機」は晴れでしたし、

あの時行動を起こした自分に天晴れと言いたいです。